源泉徴収 計算(報酬・給与)
フリーランスの原稿料・デザイン料・講演料などの報酬の源泉徴収税額(100万円以下は10.21%、超える部分は20.42%)と、請求額・振込額を計算します。希望する振込額から報酬額を逆算するモードと、会社員の給与(月額)の源泉徴収税額を令和8年分の月額表甲欄の電算機計算の特例で出すモードもあります。
給与モードの控除額(給与所得控除の最低54,167円/月、基礎控除相当48,334円/月など)は、国税庁が公表している令和8年分の電算機計算の特例の値です。令和7年度税制改正(令和7年12月1日施行)による給与所得控除の最低保障額65万円(÷12で54,167円)と基礎控除58万円(÷12で48,334円)は、令和8年分の税額表と特例に反映済みです。一方、所得に応じた基礎控除の上乗せ(最大95万円)は毎月の源泉徴収には反映されず、年末調整で精算されます。手取り 計算は年間の税額を上乗せ後の控除で出しているので、月々の源泉徴収税額の合計とは一致しません。
報酬の源泉徴収税額の計算式
報酬が100万円超: 源泉徴収税額 =(報酬 − 100万円)× 20.42% + 102,100円
1円未満の端数は切り捨て。100万円の判定は、同じ人に1回に支払う金額で行います。102,100円は100万円 × 10.21%です。
10.21%は所得税10% + 復興特別所得税0.21%(所得税の2.1%)、20.42%は所得税20% × 1.021です。対象になるのは原稿料・挿絵やデザインの報酬・講演料・翻訳料・通訳料・写真の報酬・技芸やスポーツの指導料などで、支払う側が法人や個人事業者(源泉徴収義務者)の場合に天引きされます。司法書士・土地家屋調査士への報酬(1万円を引いてから10.21%)、ホステス等への報酬など、計算方法が違う報酬もあります。
消費税は税抜にかかるか、税込にかかるか
原則は消費税込みの支払金額全体が源泉徴収の対象ですが、請求書などで報酬の額と消費税の額が明確に区分されていれば、税抜の報酬額だけを対象にしてよいとされています(国税庁 タックスアンサー No.2795)。
| 報酬10万円・消費税10% | 請求額 | 源泉徴収の対象 | 源泉徴収税額 | 振込額 |
|---|---|---|---|---|
| 報酬と消費税を区分して請求 | 110,000円 | 100,000円 | 10,210円 | 99,790円 |
| 税込11万円として区分せず請求 | 110,000円 | 110,000円 | 11,231円 | 98,769円 |
区分しないと、消費税分にも10.21%がかかって1,021円多く天引きされます(確定申告で精算はされますが、入金は減ります)。請求書では「報酬 100,000円/消費税 10,000円/源泉徴収税額 △10,210円/ご請求額 99,790円」のように分けて書くのが一般的です。
早見表(税抜の報酬 + 消費税10%を別途請求)
| 報酬(税抜) | 消費税10% | 請求額 | 源泉徴収税額 | 振込額(手取り) |
|---|---|---|---|---|
| 10,000円 | 1,000円 | 11,000円 | 1,021円 | 9,979円 |
| 30,000円 | 3,000円 | 33,000円 | 3,063円 | 29,937円 |
| 50,000円 | 5,000円 | 55,000円 | 5,105円 | 49,895円 |
| 100,000円 | 10,000円 | 110,000円 | 10,210円 | 99,790円 |
| 300,000円 | 30,000円 | 330,000円 | 30,630円 | 299,370円 |
| 500,000円 | 50,000円 | 550,000円 | 51,050円 | 498,950円 |
| 1,000,000円 | 100,000円 | 1,100,000円 | 102,100円 | 997,900円 |
| 1,500,000円 | 150,000円 | 1,650,000円 | 204,200円 | 1,445,800円 |
| 2,000,000円 | 200,000円 | 2,200,000円 | 306,300円 | 1,893,700円 |
100万円を超えると、超えた部分に20.42%がかかるため、振込額の伸びが鈍くなります。報酬150万円を1回で支払うと204,200円、75万円ずつ2回に分けると76,575円 × 2 = 153,150円の天引きですが、いずれも確定申告で精算されるので、1年間の所得税の合計は変わりません。
振込額(手取り)から報酬額を逆算する
「手取りで10万円ほしい」ときは、源泉徴収税額の分を上乗せした報酬額で請求します。税抜の報酬に消費税10%を別途請求する場合の式は次のとおりです。
振込額が997,900円超: 報酬 =(振込額 − 102,100円)÷ 0.8958(1 + 0.1 − 0.2042)
消費税を区分しない税込請求なら、0.9979を0.8979に、0.8958を0.7958に、境目を897,900円に読み替えます。消費税・源泉徴収税額の1円未満の切り捨てがあるため、上のツールでは式で出した値の前後を1円ずつ確かめて、振込額が希望額以上になる最小の報酬額を表示します。
給与(月額)の源泉徴収税額: 電算機計算の特例(令和8年分)
給与の源泉徴収税額は本来「給与所得の源泉徴収税額表」の月額表で求めますが、月額表の甲欄を適用する給与は、財務省告示の算式で計算してもよいことになっています(電算機計算の特例)。本ツールの給与モードはこの算式で計算しています。
税額 = B × 税率 − 控除額(10円未満四捨五入)
給与所得控除の1円未満は切り上げ。扶養親族等の数は源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族(控除対象扶養親族・19〜23歳未満の特定親族)の合計で、人数の上限はありません(1人につき常に31,667円を控除)。
| 社会保険料控除後の給与(A) | 給与所得控除の額 |
|---|---|
| 158,333円以下 | 54,167円 |
| 158,334円 〜 299,999円 | A × 30% + 6,667円 |
| 300,000円 〜 549,999円 | A × 20% + 36,667円 |
| 550,000円 〜 708,330円 | A × 10% + 91,667円 |
| 708,331円以上 | 162,500円 |
| 社会保険料控除後の給与(A) | 基礎控除の額 |
|---|---|
| 2,120,833円以下 | 48,334円 |
| 2,120,834円 〜 2,162,499円 | 40,000円 |
| 2,162,500円 〜 2,204,166円 | 26,667円 |
| 2,204,167円 〜 2,245,833円 | 13,334円 |
| 2,245,834円以上 | 0円 |
| 課税給与所得金額(B) | 税額の算式 |
|---|---|
| 162,500円以下 | B × 5.105% |
| 162,501円 〜 275,000円 | B × 10.210% − 8,296円 |
| 275,001円 〜 579,166円 | B × 20.420% − 36,374円 |
| 579,167円 〜 750,000円 | B × 23.483% − 54,113円 |
| 750,001円 〜 1,500,000円 | B × 33.693% − 130,688円 |
| 1,500,001円 〜 3,333,333円 | B × 40.840% − 237,893円 |
| 3,333,334円以上 | B × 45.945% − 408,061円 |
この算式の税額は、月額表の甲欄の税額と数円〜数十円ずれることがあります。月額表は給与を一定の幅の階級に分けてその中間値で計算しているのに対し、特例は給与額そのもので計算するためです(国税庁の例: 社会保険料控除後の給与175,000円・扶養親族等2人で、月額表250円、特例210円)。差は年末調整で精算されます。副業先など扶養控除等申告書を出していない勤務先の給与は乙欄の税額になり、この特例は使えません。本ツールでは乙欄は計算していません。
よくある質問
源泉徴収の10.21%の内訳は?
所得税10%と、その2.1%にあたる復興特別所得税0.21%の合計です(10% × 1.021 = 10.21%)。100万円を超える部分の20.42%も同じく所得税20% × 1.021です。復興特別所得税の課税期間は令和8年度税制改正で令和29年(2047年)12月31日まで延長され、令和9年以後は防衛特別所得税と合わせた税率になりますが、合計の税率は変わらず10.21%・20.42%のままです。報酬10万円なら源泉徴収税額は10,210円で、1円未満は切り捨てます。
報酬が100万円を超えたらどう計算する?
100万円までの部分に10.21%、100万円を超える部分に20.42%を掛けます。式にすると(報酬 − 100万円)× 20.42% + 102,100円です。報酬150万円なら 50万円 × 20.42% + 102,100円 = 204,200円。全体に20.42%を掛けるわけではありません。100万円の判定は、同じ人に1回に支払う金額で行います。
源泉徴収は消費税込みの金額にかかる?税抜にかかる?
原則は消費税込みの支払金額全体が対象ですが、請求書などで報酬の額と消費税の額が明確に区分されていれば、税抜の報酬額だけを対象にして差し支えありません。報酬10万円・消費税1万円なら、区分して請求すれば源泉徴収税額は10,210円、税込11万円全体にかけると11,231円で、1,021円違います。請求書では報酬と消費税を分けて書くのが一般的です。
振込額(手取り)から報酬額を逆算するには?
税抜の報酬に消費税10%を別途請求する場合、100万円以下なら振込額 = 報酬 × 0.9979(1 + 0.1 − 0.1021)なので、報酬 = 振込額 ÷ 0.9979 です。振込額99,790円なら報酬100,000円。振込額が997,900円を超えると報酬が100万円を超えるため、報酬 =(振込額 − 102,100円)÷ 0.8958 に切り替わります。端数の切り捨てがあるので、最後は計算し直して確かめます。上のツールの「振込額から報酬を逆算」で一度に出せます。
源泉徴収された税金は戻ってくる?
源泉徴収は所得税の前払いで、確定申告で1年分の所得税を計算して精算します。経費や各種控除を差し引いた本来の所得税が源泉徴収された合計より少なければ、差額が還付されます。売上に対して経費が多い人や、年の途中で独立して所得が少ない人は還付になりやすく、逆に所得が大きい人は追加で納付します。
給与の源泉徴収の甲欄と乙欄の違いは?
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している勤務先(主たる給与)の給与には甲欄、提出していない勤務先(副業先など)の給与には乙欄を使います。甲欄は扶養親族等の数に応じて税額が下がり、年末調整で精算されます。乙欄は税率が高めに設定され、年末調整がないため、確定申告で精算します。本ツールの給与モードは甲欄の税額です。
源泉徴収票・支払調書と源泉徴収税額の関係は?
給与の場合、1年間に天引きされた源泉徴収税額を年末調整で精算した結果が、源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄に載ります。毎月の天引き額の合計とは一致しないことがあります。報酬の場合は、支払った側が作る支払調書に年間の報酬額と源泉徴収税額が載りますが、報酬を受け取る側への交付は義務ではないので、確定申告では自分で請求書と入金記録から集計するのが確実です。
個人から仕事を受けたときも源泉徴収される?
源泉徴収をするのは、報酬を支払う側が法人や個人事業者などの源泉徴収義務者である場合です。事業をしていない個人から依頼された仕事の報酬は源泉徴収されません。また、給与を支払っていない(従業員がいない)個人事業者や、常時2人以下の家事使用人のみに給与を払う個人も、報酬の源泉徴収をしなくてよいことになっています。
本ツールは所得税法・復興財源確保法による報酬・料金等の源泉徴収税額の計算(国税庁 タックスアンサー No.2795ほか)と、令和8年分の「月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例」(財務省告示)をもとにした計算です。司法書士・土地家屋調査士・ホステス等への報酬、賞与、日額表、乙欄・丙欄、障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生などの加算は反映していません。消費税の1円未満は切り捨てで計算しています。